Columnコラム

チクングニア熱

2025.03.01

今回はチクングニア熱についてご紹介します。あまり聞かない感染症だと思いますが、海外では多く発生しているので旅行に行く際は注意が必要です。
 
チクングニア熱は蚊によって媒介されて感染する病気です。南アジア、東南アジア、アフリカ、中南米などで報告されています。日本において、国内での流行や感染はありませんが、海外への渡航歴のある人で報告されています。
 
・症状
発熱、発疹、関節痛が多く見られます。
関節痛は数週間から数か月にわたって続くことがあります。
その他、鼻出血などの出血傾向、嘔吐、悪心、結膜炎、全身倦怠感、頭痛なども見られることがあります。
重症の人では劇症肝炎、脳症なども見られることがあります。
まれに感染しても発症しない人もいます。
 
・特徴
急性の発疹性熱性疾患です。死にいたることはまれな疾患です。
アジアでは1958年にタイで流行しており、その他の東南アジアでも流行が報告されています。アフリカのほとんどの地域では感染が広がっています。また、2007年にイタリアでも流行が報告されています。日本でも年間10~20例ほど報告されています。
近年、旅行者によって新たな地域に感染が持ち込まれる可能性があり、世界中に広がる可能性が危惧されています。
チクングニア熱は感染症法の4類感染症に該当するので保健所への届け出が必要です。 
 
・潜伏期間
2~12日と言われています。通常は3~7日と言われています。
 
・原因ウイルス
チクングニアウイルス(トガウイルス科アルファウイルス属)
  
・感染経路
ネッタイシマカやヒトスジシマカなどのヤブカによって原因ウイルスが感染します。人から人へは感染しません。
 
・予防方法
予防薬、ワクチンはありません。
予防はまず蚊にさされないようにすることが大切です。
日中は長袖、長ズボンで過ごし、肌をさらさないようにしましょう。
虫よけスプレーも有効です。蚊が繁殖しやすい場所をなくすことも大切です。
感染が流行している地域への渡航は極力控えるとともに、海外への渡航する際は十分に注意する必要があります。感染症の流行などは事前に確認するようにしましょう。
 
・治療方法
特効薬はないので対症療法で治療します。
アセトアミノフェンなどの解熱鎮痛剤や輸血を行います。
蚊にさされないように予防することが大切です。 
 
 
渡航歴のある人で感染の疑いがありましたら、早めに病院に受診し相談しましょう。
 
その他に気になることがありましたら、薬剤師に気軽にご相談ください。
 
(国立感染症研究所より参照)
 

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